日本に来たばかりで、もう卒業後を決めなければならない
日本での就活を初めて本気で調べたとき、入学からすでに数か月が過ぎていた。
卒業まではまだ長く、研究も始まったばかりだった。もともとは、生活に慣れ、研究室のことを知り、卒業後について少しずつ考える時期だと思っていた。しかしAIに何度も聞き、採用サイトを調べてみると、想像とはまったく違っていた。
春になると、インターン説明会、Entry Sheet、Coding Test、面接が次々に始まった。プログラム自体は夏に行われても、応募と選考は4月や5月から始まる。博士へ進むか、将来何をしたいか、なぜこの会社なのか。まだ別々に考える時間もないまま、申請書類に書かなければならなかった。
あとから分かったのは、問題が日本の就活の早さだけではないことだった。日本に来たばかりの修士学生にとって、日本での生活、研究室での生活、キャリアの探索はほぼ同じ日に始まる。それでも採用の仕組みは、その前段階の探索がすでに終わっていることを前提にしている。
日程上はまだ始まっていないが、実際にはかなり進んでいる
政府が示す28卒向けの日程は、それほど早く見えない。
厚生労働省が公開した2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程では、今も次の三つを原則としている。
卒業・修了年度に入る直前の3月1日:広報活動開始卒業・修了年度の6月1日:採用選考活動開始卒業・修了年度の10月1日:正式な内定日この表だけを見れば、修士1年には十分な時間があるように思える。M1が終わる前の3月に企業を調べ、M2の6月に選考へ進んでも間に合う。
ただし、この日程は政府から企業への要請であり、法的拘束力はない。政府自身も同じ日程に関する資料で、現行ルールと採用活動の実態との乖離が広がっていると書いている。
資料が引用する調査では、約7割の学生がインターンシップなどのキャリア形成支援プログラムに参加し、参加は卒業・修了前年度の7月から本格化している。その参加者の約7割が早期選考の案内を受け、約5割がその後の試験や面接を受けた。企業向け調査でも、約6割が2月以前に広報を始め、約7割が5月以前に選考を始めている。
3月と6月は公表された日程上の節目ではあるが、就活がいつ始まるかを示す日付ではなくなっている。
サマーインターンは夏に始まらない
28卒にとって、2026年の春はすでにサマーインターンの選考時期だった。
プログラムが8月に行われるとしても、その前に説明会、書類選考、Coding Test、1回から数回の面接がある。短い就業体験もあれば、その後の選考につながるものもあり、それ自体が実務プロジェクトになっているものもある。同じものとして扱うことはできないが、いずれも何に応募したいかを先に考える必要がある。
学情の2026年5月の採用動向でも、大学が28卒向けにインターンシップやオープン・カンパニーの準備ガイダンスを始め、一部では自己分析、ES、面接対策を前期に集めていると報告されている。企業にとっても、夏休みまでに学生と接点を持てるかが採用計画の一部になりつつある。
一つのサマーインターンを逃したからといって、本選考の機会まで失うわけではない。採用時期は会社によって違い、インターン選考で落ちても、その後の本選考へ応募できる場合はある。ただ、インターンを通じて業界を知りたい学生にとっては、探索そのものにも締切がある。
三つのことが同じ日に始まる
海外から日本の修士課程へ直接進学する学生は、来日直後にまず生活の手続きを進めることになる。
住民登録、銀行、携帯電話、保険、住居は、一つずつなら難しくなくても、まとめて行えばかなりの時間を使う。同時に、研究室の新しい進め方に慣れ、授業と研究を始め、日本語も試験科目から毎日使う道具へ変わる。
キャリアの探索もこの時期に始まる。
以前の業界分類を、そのまま日本へ持ち込めるとは限らない。SIer、SES、Web系、自社開発、情シス、ITコンサルがそれぞれ何をしているか、新しく地図を作る必要がある。この部分は、シリーズ第1回の日本のIT業界地図にまとめた。
さらに前の段階には、博士へ進むか、卒業後も日本に残るか、研究とプロダクト開発のどちらが合うか、どの言語で働きたいかという問いがある。求人を数件読んだだけで答えられるものではない。
自然な順番は、おそらく次のようになる。
しばらく生活する→ 研究と仕事の進め方を体験する→ 業界を知る→ 応募する方向を決める実際の順番は、こちらに近い。
入学して生活に慣れる→ 同時に業界を調べる→ 同時にインターンの書類を準備する→ 選考で自分のキャリア選択を説明する難しさのすべてが言語から来るわけではない。もっと直接的な問題は、進路を考える時期と、実際に選考を受ける時期が重なっていることにある。
日本の学部生には、日程に書かれない準備期間がある
日本の学部生も当然迷うし、3年生になって初めて就活を調べる人もいる。「準備できている日本人学生」と「準備できていない留学生」の間に明確な線があるわけではない。
違いは、日常生活の背景にある。
日本の大学で学ぶ学生は、正式な就活準備をしていなくても、すでに日本で2年か3年生活している。先輩、サークル、アルバイト、学内イベント、周囲の友人を通じて、商社、コンサル、SIer、総合職、職種別採用といった言葉を聞いたことがあるかもしれない。就活が正式に始まる前から、少なくともこれらの言葉は日常の中に存在している。
海外から修士へ直接進む学生は、この地図を最初から作ることが多い。日本生活のDay 1、研究室のDay 1、キャリア探索のDay 1が重なる。一方、採用は卒業年度に合わせて進み、来日したばかりだからといって半年待ってはくれない。
もちろん、制度が外国人留学生を困らせるために作られているわけではない。新卒一括採用は同じ卒業年度の学生を中心に組まれており、企業も一人ずつ事情に合わせて待つことはできない。問題は、選考へ入る前に一定のキャリア探索を終えているという前提があり、海外修士にはその準備期間がない場合もあることだ。
秋入学が少し余裕をくれた
私は2025年10月に入学したため、おおよそ28卒に当たる。
春に28卒のサマーインターン選考が本格化した頃には、日本で半年生活していた。修士課程全体が長くなったわけではないが、その半年は進路がまだ一番見えていない時期に置かれていた。
短いながらも実際の研究生活を経験し、日本のIT業界にある基本的な区分を理解するには十分だった。生活に適応できるか、どんな仕事が好きか、どの職種をもう少し調べたいかを、想像だけに頼らず考えられるようになった。
半年ですべてが決まったわけではない。それでも、博士課程には進まないことと、長くプロダクト開発に関わる仕事の方が好きだという二点は、少しずつ明確になった。
早く準備することと、早くすべてを決めることは違う
採用が早まると、できるだけ早くすべての答えを用意したくなる。すぐに業界を決め、完成した志望動機を書き、そのとき作った話に沿って応募を続ける。
しかし研究も日本での生活も始めたばかりの人が、数か月で安定した答えを出すのは難しい。最初の選択をそのまま人生設計にするのは、少し早すぎる。
今は、前もって準備することを情報不足を減らす作業だと考えている。どんな業界があり、いつインターンが始まり、選考で何が必要かを先に知る。そのあとで、実際の経験を使って合わない方向を少しずつ外していく。応募時点の理由はもちろん必要だが、その理由は暫定的でもよい。
4月に来日する海外修士には、この半年がないかもしれない。日本で就職するつもりなら、来日前に業界用語、卒業年度の考え方、おおよその日程だけでも知っておける。来日後が忙しいことは変わらなくても、住民登録をしながら初めてSIerの意味を調べずには済む。
まだ終わっていない
現在も28卒の就活中であり、この先の早期選考、本選考、最終的な選択についてはまだ結論がない。
秋入学にも当然デメリットがある。前半の時間配分は変わるが、卒業と一斉入社の間はあとで調整する必要がある。また、多くの学生と時期がずれるため、同じ時期の入学式や卒業式に参加しにくく、研究室全体の歓送迎会も基本的にはない。節目の行事を大切にする人にとっては、大きな心残りになるかもしれない。
博士課程へ進む場合も、10月入学に追加の利点があるとは限らない。むしろ博士課程の入学と修了時期をあらためて計画する必要がある。